kami

来島から約50日。
ここに来て、ちゃんと本島での竹紙を作るプロジェクトの現在進行形を記す。

島の人たち、ギャラリーの人たち、身内、そして来訪者たちとの竹紙を介した関係が発生し、それによって本島での竹紙作りの礎が生まれようとしている。
竹紙づくり自体、私にとって初めてのトライで、慣れない「島暮らしと竹紙つくり」に苦戦しているのを知った、彼、彼女たちの「応援と協力」との共作になった。
具体的な、「応援と協力」とは、竹紙づくりに必要なほとんどの物資とアイデア、それと共に作っていこうと勝手気まま動いてくれたこと。
彼らはまるでインプロビゼーションのワークショップのように、面白がり、指図し、実践した。

ある現地の80代の女性は、漉き終わり、天日に干してある竹紙にゴミがかからないように網をかぶせてくれた。彼女の身の上と周辺の話と冷たくて美味しいゼリーやぶどう、あんパン、なしを連日差し入れしてくれる。彼女は竹をゆでるのに必要な、薪とたきつけに便利な乾いた松の葉を提供してくれた。そして島のことを紹介したTVのDVDをみせてくれた。息子がテレビ会社に勤め、その関係で手にいれたのだそうだ。その映像に彼女は映っていた。何本かの番組が収められていて一本は「田舎に泊ろう」だった。その、くれた薪は彼女がお風呂を沸かすために集めているものだ。それは彼女にとって大事な財産だという。今年なくなったばかりの旦那さんが作ってくれた台車を引き、物資を持ってきてくれる。

ある大阪から帰郷していた男性は、カ性ソーダを竹紙に使用することが良くない、と言った。
いくつかの文献には、竹紙つくりの際、苛性ソーダの使用が挙げられている。
コンスタントに竹を煮崩したり、腐敗を促すのにそれかアルカリ性の溶剤を用いなければならない。そして漂白にも。
ちなみに後日、徳島の和紙屋さんに話をうかがうことが出来た、カ性ソーダが最も協力で、炭酸ソーダ、石灰、灰などは効用は劣るものの有効であるとのことだった。石灰は白いので白い紙を作るのにむいているとのこと。
彼は、苛性ソーダのもつ、公害病のイメージと、本島の下水処理のシステムを指摘した。
竹紙つくりの作業場所は、漁師達が使う船着場の近くで、その地域の生活排水は蟹と猫のいる溝を流れ、何の処理もなく海に流れる。海では群れのママカリが泳ぎ、ボラがジャンプする。ベラ、カサゴ、クロダイ、タコがよく獲れる。
もし、海の魚が薬品で死に、そこらに浮いて漂ってしまうような事態になったら一体どうするのだ?
という真剣で親身な指図だった。
このコメントを受け、即座に私が思いついたのは、ある市販の台所用漂白剤を代用することだった。
実践した結果、そのアイデアは実を結ぶことになった。
苛性ソーダよりも、島で手に入りやすく、使いやすく、使用の目的である効果も優れていた。
彼は、その漂白剤ならばどの家庭でも使っているから大丈夫だ、と言っていた。
しかし、その漂白剤が、本当に公害にならないのかどうか、慎重に検討しなくてはいけないと思っている。
彼は、この後の展開として、そこに自生しているイタドリやメンダケからも紙が作れるはずだ、というアイデアをくれた。イタドリで戦時中は紙を作っていた、という証言もくれた。

ギャラリーのあるお客は、漂白剤を中和するためのアイデアをくれた。
その彼は香川でジーパンを作る仕事をしていた人物で、ストーンウォッシュ加工を世界で始めて開発したという。金魚を飼うときに使う、水質を調整する薬品を使うと、間違いないといってくれた。
なににせよ、中和してしまわないといけない。
中性にすることで紙の寿命を延ばすし、なにより、環境への配慮が大事だ。

ギャラリーの隣に住んでいる女性は焚くのにひつような大きな素焼きの「おくどさん」を貸してくれた。
そして、大きな紙を漉くのに必要な、大きな浴槽を貸してくれた。
その浴槽は彼女の息子が車のタイヤのメンテナンスに使うものだ、ということだった。

そのおくどさんを酷使しているうち、割れてしまった。
朝早く、通りがかりのおよそ60歳代の地元の漁師でもある民宿の主人が、それを補修してくれた。
そしてより効率のいい使い方を提案してくれた。
おくどさんや、薪で焚くというむかしながらのやり方に明るくない私にとって、
そういう補助やアドヴァイスは非常にありがたい。
その民宿で個展をやってみないか、とも提案してくれた。

助っ人が岡山から二人来た。ある岡山で行われた展覧会を観に行き、知り合った同い年くらいの社会人の友達同士の女性2人で、竹紙の話をしたら興味関心をもってくれた。美術の大学を卒業した方と、ある現代美術のギャラリーに勤めている方だった。
竹の加工を実際に手伝ってくれ、楽しく一緒に手間を担ってくれた。
そして、後日デザインを勉強している大学三年生の男の子を助っ人として紹介してくれた。
彼女たちはボランティアどころか食材も送ってくれるという。
このような活動はその意義に共感してくれる、「仲間たち」が不可欠である。
救われる想いである。




つづく
[PR]
by wasurerare | 2010-08-24 00:31 | Ikoi_Girl__憩娘
Tomoaki Shibata, Artist from Japan is owner of this home page since 2006.Tomoaki runs own 2 home page. Another is main act. This act: news&blog Another:main.. http://wasurerare.jimdo.com/
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30